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電子帳簿保存法についてのコラム(令和3年度税制改正を反映済み)

電子帳簿保存法の創設から現在に至るまで

まとめ

電子帳簿保存法は、社会のペーパーレス化に対応するために平成10年度の税制改正で創設されました。その後幾度の改正をなされたが、特にスキャナ保存制度と電子取引保存制度については大幅に要件が緩和され、実務上の対応がしやすくなっています。直近の改正では、適正事務処理要件の排除、事前承認の不要等さらに、中小企業等が導入しやすい形となっています。

1 電子帳簿保存制度はなぜ創設されたのか?

(1)背景

社会の高度情報化・ペーパーレス化が進む中、会計処理の分野でもコンピュータを使用した帳簿書類の作成が普及してきました。 経済界をはじめとする国内外の関係各界等から、帳簿書類の電磁的記録、いわゆる電子データ及びマイクロフィルムによる保存を認めてほしいという強い要望が寄せられていました。

政府においては、こうした要望を受け止め、規制緩和推進計画等の決定、緊急経済対策、市場開放問題苦情処理対策本部決定等において、政府全体として帳簿書類の電子データによる保存措置を平成9年度末までに講ずることを決定していました。

このような関係各界からの要望や政府全体としての取組を踏まえ、平成10年度税制改正の一環として、適正公平な課税を確保しつつ納税者等の帳薄保存に係る負担軽減を図る等の観点から、国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度等の創設等が行われました。

(2)政府税調答申による改正の基本的な考え方

政府税制調査会の 「平成10年度の税制改正に関する答申)」では、次のような基本的な考え方が示されています。

新しい時代の流れに対応し、納税者の帳簿書類の保存の負担軽減を図るために、記録段階からコンピュータ処理によっている帳簿書類については、電子データ等により保存することを認めることが必要であると考えます。

その際には、コンピュータ処理は、痕跡を残さず記録の遡及訂正をすることが容易である、肉眼でみるためには出力装置が必要であるなどの特性を有することから、適正公平な課税の確保に必要な条件整備を行うことが不可欠です。

また、電子データ等による保存を容認するための環境整備として、 EDI取引 (取引情報のやり取りを電子データの交換により行う取引) に係る電子データの保存を義務づけることが望ましいと考えます。

国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存制度等は、このような政府税制調査会の答申における考え方を踏まえて創設されました。 答申を読むと、改正に当たっての二つの課題が挙げられます。

① 電子データ処理は痕跡を残さず記録の遡及訂正が容易、視認可能な出力装置が必要など、適正公平な課税の確保に必要な保存要件を整備する必要

② 電子取引を行った場合には、その取引情報の保存制度が措置されていない

このような経緯を経て、平成10年度税制改正で電子帳簿保存法が成立しました。

2.スキャナ保存制度創設の考え方とは?

(1) 背景

法令により義務付けられている紙での保存が、民間の経営活動や業務運営の効率化の阻害要因となっていたことから、日本経団連をはじめとする民間企業等から政府に対して、早期に電子での保存が可能となるよう数度にわたり強い要望がなされました。また、技術的にも情報通信技術の進展により、紙での保存に代えて、電子的に保存することが基本的に可能となっていました。

(2) 紙保存から電子保存への容認

民間の文書保存に係る負担の軽減を図るため、紙での保存を義務付けている多数の法令について、統一的な方針の下に電子保存を容認する措置を講ずることとされました。そして、「e-文書通則法」と「e-文書整備法」が、平成16年12 月に公布されました。

税務関係書類については、適正公平な課税の確保のため、税務署長の事前承認を要件としており、 e-文書通則法の対象とせず、 e-文書整備法において電子帳簿保存法を改正してスキャナ保存制度が創設されました。

対象書類としては、適正公平な課税確保のために特に重要な文書である決算関係書類や帳簿、一部の契約書、領収書を除き、全ての書類を対象とし、真実性・可視性を確保できる要件の下で、スキャナを利用して作成された電磁的記録による保存を認めることとされました。

3.直近での税制改正ではどのような変更が行われたのか?

(1) 平成27年度税制改正

平成27年度税制改正では、スキャナ保存制度について、3万円以上の領収書等も対象に追加することにより全ての契約書、領収書等を対象にするなどの改正が行われました。

(2) 平成28年度税制改正

平成28年度税制改正では、 スキャナ保存制度について、「原稿台と一体となったもの」に限定していたスキャナ装置の要件が廃止され、スマホ等による社外における読取りを可能とする等のスキャナ保存の要件緩和等の改正が行われました。

(3) 令和元年度税制改正

令和元年度税制改正では、まず、電子帳簿スキャナ保存制度の申請手続きの簡素化・柔軟化として、認証を受けたソフトウェアの利用者の承認申請書の記載省略、新規に業務を開始した個人開業者の申請期限の特例の創設が行われ、スキャナ対象書類の範囲の拡充として、一定の要件の下、書類ごとに一回限り、過去の重要書類のスキャナ保存を可能化する等の改正が行われました。

(4) 令和2年度税制改正

令和2年度税制改正では、企業等の生産性向上を促すため、 電子取引の要件緩和として、 書面の受領者が自由にデータを改変できないシステム等を利用している場合には電子取引に係るタイムスタンプを不要化する等の改正が行われました。

電子取引を行った場合の電磁的記録の保存について、真実性の確保の要件を満たす措置の範囲に、次の措置が追加されました。

① その電磁的記録の記録事項にタイムスタンプが付された後、その取引情報の授受を行うこと。

② 次の要件のいずれかを満たす電子計算機処理システムを使用して、その取引情報の授受及びその電磁的記録の保存を行うこと。

その電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。その電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと。

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