買収対象、取引スキーム、取引金額、スケジュール等が記載されます。 取引金額については、締結時点での金額に加え、その算定の考え方も記載することがあります。 なお、DD実施前の数値であるため、DDの結果により調整される旨の文言を記載することが一般的です。
基本合意書締結後にDDを実施することが多いため、DDの実施およびお互いに協力すること等を記載します。
本項目は、買手にとって、基本合意書の中で最も重要な条項となります。 買手にとって基本合意書締結後DDを行う際には外部専門家の起用が必要となり、外部専門家へ多額の報酬を支払うことになります。 独占交渉権がない場合、売手がほかの買手候補先を最終候補先として絞り込み、そのまま最終契約書を締結してしまった場合には、 外部専門家に多額の報酬を支払ったにも関わらず、M&Aが実行できない可能性があります。また、 DD対応のためには社内のリソースを割く必要がある等、多くの労力がかかることとなるため、買手としては案件成約確度を上げるために独占交渉権を求めます。
一方、基本合意書に独占交渉権を記載すれば、売手にとっては売却する選択肢を狭めてしまうことになるため、よほど有力な候補先が現れない限り、 売手は通常それを記載することに抵抗します。実務上は、売手が納得するように、独占交渉権を付与する期間を設定して基本合意書に記載します。 独占交渉期間は2~6カ月が一般的な期間となります。
基本合意書は、前述で説明したとおり、あくまで確認書であり契約書ではありません。 そのため、条項のすべてに法的拘束力をもつ契約書とは異なり、基本合意書の条項については法的拘束力をもたせることも、またもたせないことも可能です。 実務上は、特定の条項のみ法的拘束力をもたせ、それ以外の条項には法的拘束力をもたせないかたちが多いです。 法的拘束力をもたせる条項としては、上記(イ) DDの実施(ウ)独占交渉権等があります。 (ア) 契約条件は、DD実施前であり変更となる可能性があるため、法的拘束力をもたせないことが一般的です。